Yの悲劇Yの悲劇とは、エラリークイーンのあの有名なミステリーである。ミステリー小説は好きでかなり読んでいるが、実はエラリークイーンを読んだことがなかった。 ただ、有栖川有栖の作品を数冊読んで、彼がエラリークイーンを 尊敬しており、地名シリーズや、読者に挑戦など、同じようなアプローチを行なっていることを知った。 私は有栖川の論理的な展開とその美しさが好きである。 また、本屋でたまたまミステリーの傑作選の雑誌があり、”Yの悲劇”のさわりを読んで、続きが読みたくなり、購入した。 慎重に読み、犯人を推理したが、まるで外れてしまった。 プロットに対して大小の伏線が網の目のように張られている。 それを丁寧に先入観なく、ほぐすと真相が必ず明らかになるように なっている。 これほどのものが戦前に書かれていたとは、いままでなんで読まなかったのだろうと思った。 日本では評価の高い”Yの悲劇”だが、海外ではそれほどでもないらしい。他の作品の方が高いらしい。 おそらく、真相の根本の部分の暗さと、展開の大仰さが不自然さを感じるのだろう。 まるで舞台を見ているような展開だからであろう。 やはりスタンダードは現代でもひとつも色褪せなかった。 |